「ハイ どうぞ」 見えないケーキ 皿にのせ
「イチゴがのっています」と 言えり
ままごとをして遊んでいる場面のこどもたちのやりとりです。
「ままごとのような」という比喩は、一般的には「ちまちました」とか「こどもっぽい」などと立派なことの例えではないようです。
しかし幼児にとって、ままごと遊びは社会的営みの第一歩。何ものっていないお皿だけれど「ケーキがのっているつもりね」という、この「つもり」の共有が遊びの基盤となっています。だからそのお皿を受け取ってくれた相手には、自分と同じようにケーキが見えているのですね。そこで思わず嬉しくて「イチゴがのっています」と更に具体的なイメージを伝える。こどもたちは、こんなやりとりの中で遊びの楽しさを知り、相手の思いを推し量るという社会性を培っていくのでしょう。
古川典子