クレヨンに描かれてゆく麒麟なりさうだ象よりずっと喬いぞ
小紋 潤 ~歌集「密の大地」より~
こどもと動物園に出かけた折の一首です。
その子がキリンの絵を描いているのですね。動物園では、ゾウもライオンも
見てきたでしょう。でも、キリンを好んで描いている「そうだ、キリンの方が
ずっと喬いぞ」と父親の気持はこどもに寄り添っています。
父親の言葉には、子に大きいものや堂々としたものに憧れを抱いて欲しいと
いう願いが感じられます。「高い」ではなく「喬い」と表記されているのは、
尺度としての高さだけでなく、精神的な意思や誇りも言っているのでしょう。
肩車よろこぶ声は父よりも高きところに麒麟を仰ぐ